あっこのブログ

おばちゃん探偵、法科大学院に学ぶ。

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Date:2017.11.10(Fri)18:23 | Category:[未分類]

秘密のあっ子ちゃん(33)

 これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 ごく稀に、依頼が入り、調査にかかっている最中に、依頼人から中止の申し入れが入ることがあります。
 それはたいていは喜ばしいことが多いのです。というのも、探し人と連絡がついたというケースがほとんどだからです。
 少し前にもこういうことがありました。
 依頼人は二十四才の若い女性でした。二年間つきあっていた彼からの連絡が途絶えてふた月になると言うのです。彼はもともと仕事が定まらず、職を転々と変えていたのですが、ある日、「友達に誘われたから、東京で仕事をしてくる」と言って出て行ったきり、連絡がないというのです。
 「二、三週間で戻ってくると言っていたのに、もう二ヶ月にもなるんです。東京で何かあったのかと思うと心配で…」彼女はそう訴えました。
 三、四ヶ月前のこと、その頃はサリンだの、オウムだのと、東京はまだまだ騒然としていて、彼女の心配も分らぬではありません。
 しかし、こうした場合、事件や事故に巻き込まれたと考えるより、彼の個人的な都合で連絡を取らなかったと考える方が妥当です。
 そこで、私はもう少し待った方がいいと提案したのでした。
 東京へ働きに出て行くといったきり、二ヶ月もれんらくがないと悲痛な声で電話してきた彼女(24才)に、私はもう少し待った方がいいと言いました。
 「喧嘩をした訳でもないのでしたら、もうそろそろ連絡があると思いますよ。きっと忙しすぎるか何かでついつい電話もできないんじゃないでしょうかねえ」
 ところが、彼女はもうほとんど泣き出しそうな声で訴えるのです。
 「そう思って、毎日待っていたんです。でも、もう二ヶ月も経ってしまいましゃいた。二、三週間で帰ると言っていたのに…。ですから、今すぐにでも探してほしいんです!」
 私は、これ以上「待て」というのも酷な気がしました。「それでは」と調査を始めたのでした。
 ところが、調査を開始して三日目、彼女から再び電話が入りました。
 「お手数をおかけしていますが、お願いしていた調査、中止してほしいんです」
 「それは構いませんが、どうしてですか?」
 「昨日、彼から連絡が入ったんです。明日、大阪へ帰ってくるって…」彼女の声はこの前とは打って変わって弾んでいました。
 私は「ほらね」と言いたいところでしたが、「それはよかったですねえ」と一緒に喜んであげたのでした。
  調査中に依頼人から中止の申し入れがあるのは、ほとんどが探し人と連絡が付いたという喜ばしいケースが多いのですが、特に家出の場合の家族の喜びはひとしおです。
 これもつい先日のこと、二十三才になる娘さんが一週間前に家出したと、両親打ち揃って相談に見えました。
 彼女が家出した時の状況と手がかりを一通り聞き終えて、私が「全力で探させていただきます」と言うと、やっと安心されて、ご両親は帰っていかれました。
 私達はすぐさま調査の準備を始めていました。ご両親が当社を出られて三時間後、お母さんから電話が入りました。
 「今、本人から上の娘の方へ電話が入ったのです。明日また電話すると言って切ったらしいのですが、どう対応したら一番いいのか、ご相談したくて…」
そういう内容でした。
 家出の場合、たいていは何らかのコンタクトが本人から入ることが多いのです。その時を逃がさず、本人が帰れる状況にしてあげるのが、本人にとっても家族にとっても一番いいことなのです。
 私はすぐさま、再び連絡が入った場合、お姉さんがどう対応すべきかを指示しました。
  私は家出した彼女(23才)からお姉さんへ連絡が入った場合の一番いい対応を伝えました。
 「家出した人は何らかの形で身内の方にコンタクトを取られる場合が多いのです。それは本人からのSOSですので、頭ごなしに叱られないで、『お前の言い分はよく分ったから、無理に連れ戻すつもりはないが、もう一度話し合おう』とか、『心配しているので、せめて連絡が取れるように』とか、ご両親以外の方が本人さんの情に訴えられるのが一番いいと思います」   その後三日間、ご両親からは何の連絡も入りませんでした。本人から連絡が入ったものなのかどうか、入った場合、彼女はどんな反応を示したのか、私は全く分らずにいました。
 そろそろこちらから様子を聞かなければと思っていた矢先、お母さんから電話が入りました。
 「ちょうど、こちらからご連絡しようと思っていたところなんです」
「ご心配かけてすみません。やはりあの翌日、本人から上の娘へ連絡が入りまして、言われた通り対応しますと、『九州にいる』と言いますので、今、迎えに行って、連れ戻ったところなんです。本当に有難とうございました」
 早期に本人が見つかったこのケースは、両親の心配を思うと私自身も喜びはひとしおでした。

<終>

Date:2017.09.05(Tue)14:49 | Category:[未分類]

秘密のあっ子ちゃん(32)

 これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

彼女(25才)には婚姻歴があることが実家のお父さんからの話で判ってきました。しかも、一児をもうけ、既に離婚していました。 以前勤務していたという会社を、彼女が依頼人(37才)に本名だと言っていた名前でいくら探しても該当者が出てこないはずです。彼女はその当時は婚家の名前で勤めていたのです。  やっとのことで彼女の所在が判明してきた訳ですが、難行したケースが判明してきた時のいつも喜びはありませんでした。「後にも先にも彼女に代る人はいない」と言っていた依頼人の心情を思うと、この事実を知った時、どれほど落胆するだろうかと気が重かったのです。 
 彼女の居所が判ったといそいそと報告書を受け取りにきた彼は、案の定、私の説明を聞くうちに顔の血の気が引いていくのが分りました。
 しかし、それでも彼は、「離婚して、若い女手一つで小さい子を抱えているなら、なおさら力になってやれることはないかと思います。彼氏か誰かがもういるのなら僕の出る幕じゃありませんけど…」と言いました。
 彼は、彼女が既に誰かと一緒に暮らしているのなら、直接自分が出向いていくと、却って迷惑がかかると、私達にコンタクトの代行を依頼したのでした。
 彼女(25才)が依頼人(37才)には語らなかったその経歴を知ると、彼は落胆するどころか、「それならなおさら自分でも力になれることがあるかもしれない」と言ったのでした。そして、今、彼女がどんな暮らしをしているのか知りたいと言いました。
 しかし、万が一、彼女が既に他の男性と一緒であれば却って迷惑がかかる。そんな思いが、彼をして自分で直接訪ねていきたい衝動を押さえさせました。彼は私達に彼女の現状を見に行くことと、彼女へのプレゼントとして赤い鮮かなセーターを託したのです。
 彼女の家へは年配の女性スタッフが出向きました。 彼女は誰かと暮らしているという様子は伺えませんでした。幼い息子と一緒であるのはもちろんのことでしたが…。
 応対に出た彼女は、最初、「何故ここが分ったのか?」という具合に驚いていましたが、「どういう風に暮らしているのか、心配されて…」というスタッフの説明を聞くと、快く彼からの贈物を受け取ってくれたのです。そして、「私の方からお礼の電話を入れます」と言いました。
 彼は期待に胸をふくらませ、彼女からの電話を待っていました。しかし… 
 「お礼は私の方から電話します」彼女(25才)は快くそう言ってくれました。 依頼人(37才)は久しぶりに彼女と話し、直接自分の耳で近況が聞けると期待に胸をふくらませ、彼女からの電話を待っていました。
 しかし、待てど暮らせど彼女からの電話は入りません。
 三週間が経ち、業を煮やした彼は彼女が住んでいるマンションまで行ってみました。すると、何と彼女はそこを引っ越していたのです。 
 彼からの相談を受け、私達は管理人さんに聞き込んでみました。
 その結果、少しは彼女の様子が分ってきました。管理人さんの言うのはこういうことです。
 彼女が引っ越したのは、依頼人が訪ねていった一週間前のことでした。誰か男性と同居していたということではなく、幼い息子と二ケ月ばかり暮らしていたということでした。但し、引っ越しの時は若い男性や友人らしい女性が手伝いに来ていたと…。 
 彼は悩んでいました。状況から考えると、彼に所在が分ったために慌てて引っ越したとも考えられます。しかし、彼の心情に沿って解釈すれば、引っ越しの慌ただしさのために彼に電話を入れる間もなかったとも考えられなくもありません。
 「僕が彼女の居所を知ったので迷惑だと思って引っ越したなら、これ以上追うのは申し訳ないし…」
 彼は悩んでいました。
 確かに、彼女(25才)が引っ越した理由はそうであるかもしれません。しかし、当社のスタッフが訪ねていった時の反応の良さを思うとそうとも言いきれませんでした。それに依頼人と彼女のこれまでのつながりを考えると、そんな理由だけで住み心地の良さそうなあのマンションを僅か二ケ月で引っ越すだろうかと疑問が残りました。
 これは、依頼人にとっても却って消化不良を起こしていました。「こういうことだったら、はっきり嫌だと言われてる方がまだ気持ちがすっきりする」彼はそう言っていました。
 確かにその通りでしょう。迷惑なら、スタッフが訪ねて行った時にはっきり言うなり、「電話する」と自分から言ったのなら、ちゃんと電話して自分の真意を伝えてあげるべきでしょう。期待だけ持たせておいて、再び雲隠れのようなことをするのでは、私としても“依頼人”というひいき目を差し引いても、「彼女も罪作りだなぁ」と思ったものです。 
 依頼人からの要望があればまだしも、普通は当社の方から差し出がましいことは言わないものなのですが、彼(37才)の悩んでいる姿を見かねて、私は彼女(25才)の引っ越し先を突き止めて、再度彼女の様子を見ることを提案したのでした。
 彼女の新しい住所は意外に早く判明してきました。しかし、新しい住居で彼女は再婚し、新たな生活を始めていたのでした。
 彼には何とも報告しづらい事実でした。しかし、私達には事実は事実として報告する義務があります。
 ところが、彼は一度目の報告の時と比べて意外と淡々としていました。
 「再婚して幸せになっているのならそれでいいです。今さら押しかけていこうとも思いませんし…。ただ、電話ででも彼女の口から一言聞きたかったという気はありますが…」
彼はそう言いました。そして、照れ笑いを隠しながら、こうも言ったのです。 「だけど、この名前の男性のことは知っていました。やっぱりお客さんで、よく指名してくれる人ということで、彼女からその名前を聞いたことがあります。お客さんと再婚したのなら、僕ももう少し積極的にアプローチしておけばよかったかなぁという思いは残りますけど…」

<終>

Date:2017.07.14(Fri)15:46 | Category:[未分類]

秘密のあっ子ちゃん(31)

 これは平成6年より大阪新聞紙上にて連載していた「秘密のあっ子ちゃん」に掲載されたエピソードより抜粋したものです。なお、登場人物は全て仮名で、ご本人の許可を得ております。

 その日やってきた男性は三十七才の、まだ青年らしい面影を残した優しそうな人でした。ハンサムということでもなく、派手さがあるということでもありませんでしたが、話しているとその誠実な人柄が伺われました。 
その彼がキャパクラに勤めている女性に恋をしたのです。
 初めて彼女を見たのは、会社の忘年会の流れで同僚達に誘われ、その店に行った日のことでした。彼女は彼らのテーブルについたのです。
 目がぱっちりとして色白で、髪の毛をショートカットにした、どことなく内田ユキに似た娘でした。水商売ずれしたところがなく、彼は一目で彼女を気に入りました。
 ご他聞に漏れずと言いますか、それからというもの、彼は頻繁に店へ顔を出すようになり、彼女を指名したのでした。
 彼女は二十五才。彼とは一回りも違いましたが、彼が独身であるせいか、音楽やスポーツの嗜好がまだまだ若く、彼女とは結構話が合いました。
そうこうするうちに、これもご他聞に漏れず、店が退けた後一緒にカラオケに行ったり、同伴を頼まれたりするようになったのでした。
 彼女(25才)は客の中では人気のある娘でした。 店が退けた後に一緒に飲みに行くようになったり、同伴を頼まれるようになると、彼女は彼(37才)に自分のポケベルの番号を教えました。そのポケベルは明らかに営業用のものだということを彼は知っていました。それでも彼女は、
 「いろんなお客さんからベルが入るので、ややこしくなるから、最後に“1”を打ってネ」
 と言ったのです。
 「じゃぁ、客の中では僕は一番なのかな?」などと彼は内心思ったのでした。 彼が彼女を知って一年近く経ったころです。彼女は店をしょっちゅう休むようになりました。
 「今日も休み?」
 ある日、彼は店長に尋ねました。
 「実は、先週一杯で退めたんです」
 そんな返答が返ってきました。それから一週間すると、ポケベルも使用中止となりました。
 彼は後悔していました。というのも、彼女が退める直前、いつものように同伴を頼まれたのですが、「今日は仕事が忙しいから、また今度に」と言って断ったのです。彼女からの連絡は、それが最後となったからです。
 三十七才の依頼人にとって、もちろん彼女(25才)が初めての恋ではありません。結婚を考えた人がいなかった訳でもありませんでした。しかし、これまで最後の一歩が踏み込めず、独り身で通してきました。
 そんな彼にとって、彼女は今まで知りあった女性とは全く異っていたのです。 「後にも先にも、たぶん彼女以上の人は現われないだろうと思います」
 彼はそう語っていました。 「今、幸せで元気にやっているのならそれはそれでいいんですけど、どうも何か事情もあるようだったし、もし困っているのなら、僕でできることなら手助けをしてやりたいんです」   彼は彼女の源氏名だけではなく、本名も知っていました。それに水商売に入る前に勤務していた会社も出身地も聞いていました。彼女の方も彼を信頼し、一般的な客とホステスの関係以上のことを話していたようです。
 ですから、調査はそれほど難行すると考えられませんでした。
 ところが、蓋を開けてみれば、この調査はそうおいそれと簡単に片付づくようなものではなかったのでした。
 彼女(25才)は店で働いている間は店の寮に住んでいました。
 私達は、まず彼女が以前勤務していたという繊維会社へ聞き込みに入りました。ところが、元在職者の名簿をどんなに繰ってもらっても、それらしい名前が出てきません。古くからいる“お局さん”のような人に聞いてもらっても、「私は十五年くらい前からの人ならだいたい覚えていますけど、そんな名前の人は聞いたことないですねぇ…」という返答だったのです。
 次に、私達は依頼人(37才)が彼女と連絡が途絶える直前に自動車学校へ通っていたらしいという情報から、寮から通い易い範囲の自動車教習所を軒並み当たりました。どこの職員も皆親切で丹念に調べてくれたのですが、やはり該当者はありません。
 こうなると、彼女が彼に「本名だ」と言っている名前が、本当にそうなのか疑わしくなってきました。
 そこで、私達は店へと向いました。水商売では従業員のプライベートのことはなかなか答えてくれないということはハナから分っていましたので、ツテを頼り、水商売仲間の人に同行を頼んでのことでした。
 水商売仲間に同行してもらったのは効果てきめんでした。彼女(25才)が依頼人に言っていた名前は本名であることが間違いないということが分りました。しかし、実家の住所や店の寮に住む以前の住所は履歴書にも空欄となっていて、それ以上の手がかりは把めませんでした。
 彼女の苗字が間違いないと分ると、私達は彼女の出身地、鹿児島県のその姓を軒並み電話をかけ始めました。いつもの如く、その数はかなりに上ります。
 百数十軒目の電話で、こんな話を聞くことができたのです。
 「ああ、それやったら、裏の家の娘とちゃうかな?ウチとは遠い親類に当たりますけど…。確か、結婚してすぐに大阪へ出たけど、一、二年で離婚したという話を聞いてます。詳しいことは裏に聞いてみて下さい」(勿論、今お読みいただいたような大阪弁ではなく、鹿児島弁であった訳ですが、私は大阪弁以外再現不能ですので、皆様の方で鹿児島弁でお読み直し下さい)  という訳で、彼女が以前勤務していた会社で、「そんな名前の人は聞いたことがない」という理由が明らかになりました。彼女は婚家の名で勤務していたのです。

<続>

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プロフィール

佐藤あつ子

Name:佐藤あつ子
大阪府出身。奈良教育大学を卒業後、自らの「思い出の人を探したい。しかし、あまりにも料金が高すぎる」という経験から、従来のイメージを払拭した調査業者を目指し、昭和63年10月「初恋の人探します社」を創業。思い出の人探し(所在調査)をはじめ、家系図調査、企業調査など、長年培ったノウハウを元にした独自の調査方法で、判明率は90%以上を誇る。
また執筆活動においても大阪新聞に連載された「秘密のあつ子ちゃん 美人探偵・調査ファイル」のエピソードをまとめた「初恋の人、探します」(遊タイム出版)が、日本リスクマネジメント学会第3回RM文学賞を受賞。平成10年には松竹新喜劇において、同書を原作にした舞台「初恋の人探します社」(渋谷天外脚本)が上演された。
その他にも、ラジオ・テレビ出演、雑誌寄稿、起業家への創業支援や大学でのアントレプレナー養成などでの講演など、各分野において精力的に活動している。

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